2025.07.04
今さら聞けない男性育児休業 ~経営者が押さえておきたい「実務のポイント」2選~
「うちには関係ない」と思っている経営者へ
「男性の育児休業?うちの会社にはまだ早いかな…」 「中小企業だし、そんな余裕はないよ」
そう思われている経営者の方、ちょっと待ってください!実は、男性育児休業について多くの経営者が「なんとなく分かっているつもり」だけど、実際の運用で困ることが多いんです。
知らずにいると、いざという時に適切な対応ができなかったり、従業員との間で認識のズレが生じたりする可能性があります。逆に、正しく理解して準備しておけば、スムーズな制度運用や従業員満足度向上につながります。
今回は、多くの経営者が「なるほど、そういうことか」と納得される2つの実務ポイントをお伝えします。きっと、男性育児休業への対応がもっと楽になるはずです。
実務ポイント1:男性育休は「ちょっとずつ」取れる時代になった
「長期間いなくなる」は昔の話
多くの経営者が心配するのは「男性が育休を取ると、長期間職場にいなくなって業務が回らない」ということ。でも実は、今の男性育休は「短期間の取得」が主流なんです。
新しい「産後パパ育休」の実態
- 取得期間:出生後8週間以内に最大4週間
- 人気の取り方:2週間×2回 or 1週間×4回
- 申請期限:原則2週間前(労使協定により1ヶ月前とすることも可能)
つまり、「長期休暇」というより「計画的な短期休暇」程度の感覚で対応できるんです。
実際の取得パターンがこちら
【パターン1:短期集中型】
- 出産直後に2週間だけ
- 妻の退院サポートと新生児のお世話
- 職場復帰も早くてスムーズ
【パターン2:分散型】
- 出産直後に1週間
- 1ヶ月後に1週間
- その都度、業務調整しながら無理なく
【パターン3:計画型】
- 繁忙期を避けて2週間
- 会社のスケジュールに合わせて取得時期を調整
これなら中小企業でも十分対応可能
従来のイメージ 「半年とか1年休まれたら、代替要員を雇わないと…」
実際の現実 「2週間程度なら、他の社員でカバーできる範囲」
実は、80%以上の男性が1ヶ月以内の取得というデータもあります。つまり、多くの方が会社の状況を考慮して、現実的な期間で取得しているんです。
実務ポイント2:適切な対応は「リスク回避」と「信頼関係構築」の一石二鳥
法的対応をきちんとするメリット
育児休業制度への適切な対応は、法的な義務でもありますが、それ以上に従業員との信頼関係を築く重要な機会でもあります。
最近の働く世代(特に20代後半〜30代前半)が会社選びや転職で重視するのは:
- 給与・待遇
- 職場の人間関係・雰囲気
- 働きやすさ・制度の充実
- 将来性・安定性
つまり、育児休業制度への対応は、従業員定着の重要な要素の一つなんです。
「対応しない」リスクと「適切に対応する」メリット
対応が不十分だった場合のリスク
- 行政指導や企業名公表の可能性
- 従業員との信頼関係悪化
- 何より、貴重な人材の離職
適切に対応した場合のメリット
- 法的リスクの回避
- 従業員の会社への信頼度向上
- 「働きやすい会社」としての評価
- 結果的に人材定着率の改善
実際の対応はそれほど負担ではない
必要最低限の対応
- 就業規則の改定:一度やれば完了
- 相談窓口の設置:人事担当者の兼務でOK
- 個別対応:該当者が出た時のみ
継続的な費用
- 基本的にはなし
- 社労士への相談費用程度
30代男性社員の離職コスト
- 退職に伴う業務引継ぎコスト:100万円〜
- 新人採用・教育コスト:200万円〜300万円
- 合計:300万円〜400万円
適切な制度対応のコストと比較すれば、明らかに予防効果の方が高いんです。
よくある心配への実際の対処法
Q. 「人手不足なのに、休まれたら困る」
A. 実は逆効果になりがち
- 育休取得を拒否・牽制する → 不満が蓄積 → 退職
- 快く送り出す → 感謝の気持ち → 長期定着
2週間程度の短期取得なら、有給休暇の連続取得と変わらないレベルです。
Q. 「給付金の手続きが面倒そう」
A. 最初だけ覚えれば簡単
- 基本的にハローワークとのやり取り
- 手続きは定型的で、慣れれば30分程度
- 社労士に依頼すれば完全におまかせ
Q. 「本当にメリットがあるの?」
A. 目に見える効果は確実にあります
- 制度整備企業の離職率:一般的に低い傾向
- 従業員アンケートでの満足度:制度の有無で差が出る
- 口コミサイトでの評価:働きやすさの指標として重視される
まとめ:現実的な制度整備のポイント
今回お伝えした2つの実務ポイント、いかがでしたか?
ポイント1:短期間取得が主流
- 産後パパ育休(最大4週間)と従来の育休の使い分け
- 分割取得で業務への影響を調整可能
- 長期休暇というより計画的な短期休暇として対応
ポイント2:適切な対応の価値
- 法的リスク回避と従業員満足度向上の両立
- 対応コストより離職コストの方がはるかに高い
- 基本的な対応を確実に行い、経験を積みながら改善していく
今日からできること
- 現状の制度確認
- 管理職・従業員への基本的な周知
- 相談しやすい体制づくり
男性育児休業は、「法的義務への対応」でありながら「従業員との信頼関係構築の機会」でもあります。まずは基本的な対応から始めて、実際の運用を通じてより良い制度運用を目指していくのが現実的なアプローチです。
小さな準備から始めて、「働きやすい会社」として評価される企業を目指しませんか?
何か分からないことがあれば、遠慮なくお声がけください。一緒に無理のない制度運用を考えていきましょう。
でも正直、最初は「ほんまに大丈夫かな?」って心配になるのも当然です。そんな時こそ、松木労務管理事務所に気軽にご相談いただければと思います。